今日、「ウォルト・ディズニーの約束」を観た。
率直に言うと、素晴らしい映画だった。
しかし、この映画の感想を具体的に書くのは難しい。
鑑賞中、何度となく涙腺が刺激された。
感激と悲しみの両方で。
これほどまで、悲しい側面を持った作品であるとは予想していなかったが
それも含めて素晴らしい映画だった。
まず、感じたのは役者の素晴らしさ。
原作者を演じた「エマ・トンプソン」
ウォルトを演じた「トム・ハンクス」を始め、みんな素晴らしかった。
「トム・ハンクス」が、まるでウォルト本人のように感じられたし
「シャーマン・ブラザーズ」も同様に、本人たちのように感じられた。
原作者の父親を演じた「コリン・ファレル」も素晴らしいし
原作者の幼少期を演じた「アニー・ローズ・バックリー」も素晴らしかった。
リムジン運転手であるラルフを演じた「ポール・ジアマッティ」も素晴らしかった。
そして、脚本・演出も素晴らしかった。
「メリー・ポピンズ」の単なる製作秘話ではなく、原作者の回顧録として描かれていた。
「メリー・ポピンズ」は、かなり昔に観たことがあり、現在も内容を覚えているが
原作者の過去を基に描かれた作品だったことは知らなかった。
所々にちりばめられた、ディズニーらしい洒落た台詞も素晴らしかった。
音楽も素晴らしい。
昔観た「メリー・ポピンズ」の記憶が甦り、とても懐かしかった。
シャーマン・ブラザーズは本当に素晴らしい。
自分も物作りの人間で、エンターテインメントを愛する人間だ。
そこで、いつも考えてしまうのは、エンターテインメントが現実において
どういったメリットをもたらすのかということ。
この世界には、エンターテインメントなど“くだらない”とする人間も確かに存在する。
『所詮、現実逃避ではないか。』
『子供でもあるまいし馬鹿馬鹿しい。』
そういった意見に対して自分は
『生きることとは、楽しむことだ』と考えている。
『エンターテインメントは楽しいものだ。それだけで十分ではないか。』
また、ネガティブとポジティブの関係に関しても同様で
『全てを悲観的に捉えても、悲しく辛いだけ。』
『楽観的に、ポジティブに捉えることで
希望を抱けるし、明日への活力になる。』
と、考えている。
本作の本編(日本語字幕)で、ウォルト役の「トム・ハンクス」が
『過去に支配されない人生を歩むべきでは?』
『我々 物語を創る者は 想像力で悲しみを癒やす
そして 人々に 尽きせぬ希望を与える』
と、原作者役の「エマ・トンプソン」に語る。
自分は、この言葉に強く共感した。
ディズニー映画「白雪姫」のVHSに収録されているメイキングにてウォルトは
『かつては、誰もが子供だったということ。
だから企画を立てるときは、大人でも子供でもなく
誰もが心の奥に持っている、無邪気で汚れを知らない部分に訴えようと考えます。
私たちの映画を観て、忘れてしまった何かを思い出して欲しいのです。』
といった言葉を遺していたことが明らかにされている。
この「ウォルト・ディズニーの約束」という映画においても
その言葉の確かさは明らかだと感じた。
本作の本編(日本語字幕)でも、原作者役の「エマ・トンプソン」を
ウォルト役の「トム・ハンクス」がディズニーランドで
キングアーサーカルーセルに乗せるシーンにて
『子供の心で楽しまなくては
人は皆 心に子供がいる』
と語っている。
1955年7月17日
ディズニーランドが開園した際のスピーチで
ウォルトは以下のような言葉を遺している。
『幸せの場所へようこそ
ここはあなたの国
大人は過去を取り戻し 若者は未来へと夢をはせる
ここにあるのは理想と夢 そしてアメリカの歴史です
それが世界の喜びや創造の源となれば幸いです』
自分にとっての、人生のバイブルの一つになりうる作品と巡り合うことができた。
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